ビジネス実務法務検定試験® 3級 無料問題 2 / 10 ・ 分野2: 企業取引の法務
A社は、近くに新駅ができると思い込み、その思い込みを誰にも伝えないまま、B社から土地を買った。実際には新駅の計画はなかった。民法上、A社がこの錯誤を理由に売買の意思表示を取り消すための要件として正しいものはどれか。
- その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていること
- A社が土地の代金を全額支払う前であること
- A社が思い込んだことについて、相当の理由が書面で示されていること
- B社が新駅の計画がないことをA社に積極的に告げていたこと
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正解: A
正解の理由
民法第95条第1項第2号は、表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤(いわゆる動機の錯誤)を取消しの対象にし、同条第2項は、その取消しはその事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限りすることができるとする。A社は新駅の見込みを伝えていないので、そのままでは取り消せない。動機は相手方から見えないため、表示を要件にして相手方の信頼を守っている。
違う選択肢
「A社が土地の代金を全額支払う前であること」… 取消しの時期を代金の支払で区切っている。第95条は代金の支払の前後で取消しの可否を分けておらず、動機の錯誤で求められるのは、基礎とした事情が表示されていたことである。
「B社が新駅の計画がないことをA社に積極的に告げていたこと」… 相手方の働きかけを要件にしている。相手方が事実を偽って告げた場合は詐欺(第96条)の問題になる。動機の錯誤による取消しの要件は、事情が法律行為の基礎とされていることの表示である。
「A社が思い込んだことについて、相当の理由が書面で示されていること」… 書面での理由の提示を要件にしている。第95条第2項が求めるのは事情が基礎とされていることの表示で、書面で理由を示すことは要件ではない。表示は明示でも黙示でもよいと解されている。
押さえどころ
錯誤は、表示に対応する意思を欠く錯誤(第95条第1項第1号)と、基礎事情の錯誤(同項第2号)に分かれる。後者は「基礎とされていることが表示されていたとき」に限って取り消せる(同条第2項)。どちらも重要性が必要である。