日商簿記検定 3級 無料問題 10 / 10 ・ 分野14: 決算
次の決算整理事項にもとづいて、精算表を完成させなさい。会計期間は ×1年4月1日から ×2年3月31日までの1年である。科目の欄が空欄の行は、並べた2つの科目から正しい方を選ぶ。 決算整理事項 1. 得意先から売掛金 61,000 円が当座預金口座に振り込まれていたが、未記帳だった。 2. 仮払金 58,000 円は、従業員の出張にあたり旅費の概算額を渡したものである。従業員が帰社し、旅費は 20,300 円だったと報告を受け、残りを現金で受け取ったが、未記帳だった。 3. 現金過不足(貸方残高)のうち 1,600 円は受取手数料の受取りの記入漏れと分かった。残りは原因が分からなかった。 4. 当座預金の貸方残高の全額を、銀行との当座借越契約による借越として当座借越勘定に振り替える。 5. 期末商品棚卸高は 166,000 円である。売上原価は「仕入」の行で計算する。 6. 売掛金の期末残高に対して 2% の貸倒れを見積もり、差額補充法で貸倒引当金を設定する。 7. 建物は定額法(残存価額ゼロ・耐用年数 30 年)で減価償却を行う。 8. 保険料 82,800 円は当期の8月1日に向こう1年分を支払ったもので、未経過分を月割で繰り延べる。
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正解の理由
精算表は、試算表欄の残高に決算整理仕訳(修正記入)を加減し、収益・費用の行は損益計算書欄へ、資産・負債・純資産の行は貸借対照表欄へ移す。修正記入の欄は、下の整理仕訳を科目ごとに書き入れたもの。
決算整理仕訳と金額の式(決算整理事項の順に当てる)
1. 未記帳の取引: (借)当座預金 61,000 /(貸)売掛金 61,000。決算整理の前に帳簿へ入れ、後の整理はこれを入れた後の残高(売掛金 810,000 = 871,000 − 61,000)で計算する
2. 仮払金の精算: (借)旅費交通費 20,300・現金 37,700 /(貸)仮払金 58,000。現金 37,700 = 渡した額 58,000 − 旅費 20,300。精算した後の仮払金は0になる
3. 現金過不足: (借)現金過不足 2,900 /(貸)受取手数料 1,600・雑益 1,300。雑益 1,300 = 2,900 − 1,600
4. 当座借越: (借)当座預金 168,000 /(貸)当座借越 168,000。168,000 = 試算表の貸方残高 229,000 − 未記帳の入金 61,000。当座預金の貸方残高は銀行から借りている額なので負債へ移し、当座預金は0にする
5. 売上原価: (借)仕入 278,000 /(貸)繰越商品 278,000、(借)繰越商品 166,000 /(貸)仕入 166,000。売上原価 5,712,000 = 期首 278,000 + 当期仕入 5,600,000 − 期末 166,000
6. 貸倒引当金: (借)貸倒引当金繰入 9,400 /(貸)貸倒引当金 9,400。見積額 16,200 = 売掛金 810,000 × 2%(売掛金は未記帳の取引を入れた後の残高)。繰入額 9,400 = 見積額 16,200 と試算表の残高 6,800 の差
7. 減価償却: (借)減価償却費 120,000 /(貸)建物減価償却累計額 120,000。120,000 = 3,600,000 ÷ 30
8. 前払保険料: (借)前払保険料 27,600 /(貸)保険料 27,600。27,600 = 82,800 × 未経過 4 か月 ÷ 12(8月から3月までの 8 か月は当期分)
修正記入の当座預金の借方 229,000 は、上の仕訳の当座預金の借方の 61,000 と 168,000 を合わせた額(1つの欄に合計を書く)。
整理後の残高(整理前 ± 整理仕訳)
現金 336,700 = 299,000 + 37,700 → 貸借対照表の借方
当座預金 0 = 229,000 − 229,000(整理後は0。どの欄にも書かない)
売掛金 810,000 = 871,000 − 61,000 → 貸借対照表の借方
仮払金 0 = 58,000 − 58,000(整理後は0。どの欄にも書かない)
繰越商品 166,000 = 278,000 + 166,000 − 278,000 → 貸借対照表の借方
貸倒引当金 16,200 = 6,800 + 9,400 → 貸借対照表の貸方
建物減価償却累計額 600,000 = 480,000 + 120,000 → 貸借対照表の貸方
受取手数料 117,600 = 116,000 + 1,600 → 損益計算書の貸方
仕入 5,712,000 = 5,600,000 + 278,000 − 166,000 → 損益計算書の借方
旅費交通費 121,300 = 101,000 + 20,300 → 損益計算書の借方
保険料 55,200 = 82,800 − 27,600 → 損益計算書の借方
雑益 1,300 = 1,300 → 損益計算書の貸方
当座借越 168,000 = 168,000 → 貸借対照表の貸方
貸倒引当金繰入 9,400 = 9,400 → 損益計算書の借方
減価償却費 120,000 = 120,000 → 損益計算書の借方
前払保険料 27,600 = 27,600 → 貸借対照表の借方
整理で動かない科目(整理前の額のまま)
建物 3,600,000 → 貸借対照表の借方、土地 1,900,000 → 貸借対照表の借方、買掛金 350,000 → 貸借対照表の貸方、借入金 1,000,000 → 貸借対照表の貸方、資本金 3,000,000 → 貸借対照表の貸方、繰越利益剰余金 1,183,000 → 貸借対照表の貸方、売上 8,300,000 → 損益計算書の貸方、給料 1,370,000 → 損益計算書の借方、支払家賃 492,000 → 損益計算書の借方、支払利息 15,900 → 損益計算書の借方
つながりの検算
収益 8,418,900 − 費用 7,895,800 = 当期純利益 523,100
貸借対照表欄: 借方 6,840,300 − 当期純利益を除く貸方 6,317,200 = 523,100
合計: 修正記入 890,900・損益計算書 8,418,900・貸借対照表 6,840,300(それぞれ借方 = 貸方)
記入の無いマス(修正記入の無い行の修正記入欄、移さない側の欄、当期純利益の行の修正記入欄など)は空欄のまま残す。
採点は1行(貸借対照表・損益計算書は1項目)ごとで、全部合って点になる。決算整理で動く行と当期純利益・合計は2点、整理前の額を写すだけの行は1点。
間違えやすい点
「試算表の売掛金のまま貸倒引当金を見積もる」… 未記帳の 61,000 円を入れると売掛金は 810,000 円に減る。見積もりの元はこの残高で、試算表の 871,000 円のまま計算すると見積額が多すぎる。
「仮払金を残す」… 精算したら仮払金は0になる。渡した 58,000 円の全額を貸方に書き、使った 20,300 円は旅費交通費、戻った 37,700 円は現金の増加にする。
「雑損」… 現金過不足が貸方残高なのは、実際の現金が帳簿より多かったから。原因の分からない過剰は利益なので雑益にする。雑損は借方残高(現金が少ない)のとき。
「試算表の当座預金の額のまま振り替える」… 未記帳の入金 61,000 円を入れると、当座預金の貸方残高は 229,000 円から 168,000 円に減る。振り替えるのはこの 168,000 円で、試算表の 229,000 円のまま振り替えると当座借越が多すぎ、当座預金は借方残高になってしまう。
「当座預金を貸借対照表の貸方にそのまま書く」… 当座預金が貸方残高なのは、預金の残高を超えて引き出したから。資産の当座預金のまま貸方に置かず、負債の当座借越に振り替える。
「期首の商品を繰越商品の借方に書く」… 期首の商品は繰越商品から仕入へ移す(繰越商品は貸方)。期末の商品は仕入から繰越商品へ戻す(繰越商品は借方)。逆にすると商品の残高も売上原価もずれる。
「見積額の全額を繰り入れる」… 試算表に残っている貸倒引当金 6,800 に足すのは差額だけ(差額補充法)。全額 16,200 を繰り入れると、引当金が 6,800 だけ多く積まれ、費用も過大になる。
「減価償却費を累計額から計算する」… 定額法は毎年同じ額で、取得原価 ÷ 耐用年数。取得原価から建物減価償却累計額(前期までの累計)を引いた額をもとにするのは定率法(2027年度から3級の範囲に入る)の計算で、定額法で引くと償却費が年ごとに小さくなってしまう。
「経過した8か月分を繰り延べる」… 繰り延べるのは次期の分(未経過の4か月)。8月から3月までの8か月分は当期の費用として残す。
「償却債権取立益」… 償却債権取立益は、前期以前に貸倒れとして処理した売掛金などを当期に回収したときの収益。現金過不足のうち原因の分からない過剰は回収とは関係の無い利益なので、雑益にする。
「記入の無いマスに 0 を書く」… 精算表では記入の無いマスは空欄のまま。0 を書くとその行は不正解になる。修正記入の無い行も、試算表の額を損益計算書欄か貸借対照表欄のどちらか一方へ移すだけで、もう一方は空欄にする。
出題区分表
第三 決算 2.精算表(8桁)/3.決算整理(2022年度版・2027年度版とも同じ番号)