応用情報技術者試験 科目A 無料問題 10 / 10 ・ 分野9: 企業と法務
X社の社員が、会社の指示で業務用の在庫管理プログラムを作成した。このプログラムは社内でだけ使い、X社の名義で公表する予定はない。作成の時点の契約や勤務規則に、著作者についての別段の定めはない。このプログラムの著作者について、著作権法に照らして適切なものはどれか。
- X社が著作者となるが、著作者人格権は作成した社員に残り、X社の改変には同意が要る
- 法人名義での公表の有無を問わずX社が著作者となり、著作者人格権も作成した社員でなくX社がもつ
- 社員が著作者となり、職務上の作成なので著作権は作成の時からX社に帰属する
- 法人名義で公表していないので社員が著作者となり、X社は社員から許諾を得て使う
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正解: B
正解の理由
著作権法第15条第2項は、法人等の発意に基づき、その業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物について、作成の時の契約・勤務規則その他に別段の定めがない限り、法人等を著作者とする。プログラム以外を対象にする第1項と違い、法人等の名義で公表するという要件がない。社内でだけ使われ公表されないことの多いプログラムの実情に合わせた定めである。著作者がX社なので、第17条第1項により、著作権も著作者人格権もX社が享有する。
違う選択肢
「法人名義で公表していないので社員が著作者となり、X社は社員から許諾を得て使う」… 第15条第1項の「自己の著作の名義の下に公表するもの」という要件をプログラムにも当てはめた誤り。第1項はかっこ書きでプログラムの著作物を除いており、プログラムは第2項で公表の名義を問わない。
「社員が著作者となり、職務上の作成なので著作権は作成の時からX社に帰属する」… 特許法第35条第3項(契約などで定めたとき、特許を受ける権利が発生の時から使用者に帰属する)の仕組みと取り違えている。職務著作では著作者そのものが法人等になり、社員に著作者の地位は生じない。
「X社が著作者となるが、著作者人格権は作成した社員に残り、X社の改変には同意が要る」… 職務著作では法人等が著作者なので、第17条第1項により著作者人格権も法人等が享有する。社員に人格権が残るのは、社員が著作者で、著作権だけを会社が譲り受けた場合である。
押さえどころ
職務著作の要件は、法人等の発意、業務に従事する者、職務上の作成、(プログラム以外は)法人等の名義での公表、作成時に別段の定めがないこと。外部に開発を委託した場合、委託先の社員は通常、委託元の「業務に従事する者」に当たらないので、契約で著作権の譲渡を定めない限り、著作権は委託先に残る。